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禁煙外来に行ってみよう(2011年2月)


最新タバコ事情96

 今、たばこの大幅値上げに伴って禁煙外来が一躍脚光を浴びている。デフレ不況の中で100円を超える値上げはさすがに喫煙者に痛手で、真剣に禁煙を考えるきっかけとなったようだ。
 タスポで多少なり自販機利用の煩わしさが増えたのか、コンビニでの1カートンずつのまとめ買いが主流になったらしいが、4100円からの支払いには結構抵抗があるとか。まとめて買うことでやっと自分がタバコで多額の浪費をしているのに気づいた人も多いという。
 今まで月4〜5人だった禁煙治療を希望する方が一挙に3、4倍に増加し、そのため飲む禁煙薬の欠品騒ぎまで起こった。
 新年からはやっと通常の診療体制になったがやはり患者さんは多い。全国で健康保険が使える禁煙外来が今では1万ヵ所を超えた。効果のやや不確実な禁煙パッチ(貼り薬)時代には新規開設が伸び悩んでいたが、飲み薬の登場で大きく様変わりした。日本人の「お薬を飲んで治療する」という習慣にマッチしたことと高い禁煙成功率によるものだろう。
 ただこの治療はお薬を出すことだけでどうなるものではなく、患者さん(喫煙者)の認知の歪みを正すことがポイント。まずタバコはドラッグであること、自分が薬物依存症という脳の病気であることを認識してもらう必要がある。
 吸いたい気持ちはせいぜい1〜2ヶ月で自然に消えていくものだが、一生際限なく続くような気にさせるのも「ドラッグの罠」の特徴である。
 ただ、薬物でやられた脳の構造は回復することはあっても決して治癒はしない。何年たっても1本吸えば2本目であっという間に中毒状態に戻ってしまうため、課題の半分は再喫煙の防止にある。
 薬でほとんどが禁煙できるものの半年やめて半人前、1年たってやっと吸わない人の仲間入りと言ったところだろうか。

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