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禁煙外来に健康保険で(2006年3月)


最新タバコ事情70

 4月からの健康保険診療報酬の改定で、禁煙したい人の診察、指導が「ニコチン依存症管理料」として新たに認められた。タバコをやめられないのは病気であり「治療」の対象になると明確に位置づけられてのことである。
 今までニコチンパッチなどの処方を受けるには、初診料からすべてを自費で支払わなければならなかったため自己負担が大きく、気軽に禁煙外来などに受診、相談できなかったことを考えると大きな進歩である。(パッチそのものは普通のお薬とは違ってやはり自費になる)
 JTはすぐに、「喫煙者はなんら支障なく通常の日常生活を送っているにも拘らず、喫煙者を治療が必要な依存症患者として扱うことは不合理ではないか」と相も変らぬ的外れの理屈で反対している。「日常生活のできる麻薬」の製造元としては、大きなイメージダウンなのだろう。
 2月には医師、歯科医師など医療に関わる人たちばかりではなく、教育、社会運動からタバコ問題に取り組む人たちとの連携を求めた「日本禁煙学会」が立ち上げられた。私もその設立に関わったが、世界の国々が足並みをそろえた「タバコ規制枠組み条約」が成立した今こそ、日本が大きく変わるチャンスと捉えた人々の熱気が痛いほど感じられた。
 財務省主導の医療費削減に喘ぐなか、吸いやすく「可愛い」タバコを若い女性に恥ずかしげもなく売り込み、一生都合のいい集金マシンに仕立て上げようとする連中に一矢報いた感のある診療報酬改定であった。

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