リセット禁煙のすすめ(2004年12月)
最新タバコ事情62


 いま、「リセット禁煙のすすめ」(磯村毅・六法出版)という本が話題を呼んでいる。自分にとって、毎日毎日タバコを吸うという行為が本当に必要な事なのだろうか、というところまで戻って考えを整理し、タバコのない人生にリセットしてみようという試みである。
 ニコチンという薬は、中枢神経をわしづかみするように、あたかも自分自身がタバコを求めているような気持ちにさせる。タバコがなければそれこそ生活できないような気さえするのだから、不思議といえば不思議なものだ。これはお腹が空いたのに、何も食べ物がなければ空腹感でイライラするのと、全く同じ現象である。
 タバコなど何のかかわりもなかった子供の頃に何か不都合な事でもあっただろうかと考えてみれば、容易にその不可解さに気づくのだが、私も喫煙者だった頃はおよそ考えたこともなかった。タバコなしではいられない人間になってしまうと、どんなおいしい食事をしても、最後に一服しなければ満足には至らない。むしろ最後にタバコを美味しく吸うために食事をするようになっていたようだ。
 そんな単純な疑問を本に沿って改めて掘り起こし整理していくと、「吸い続けていく理由」などあるのだろうかという「気づき」が生まれる。それを重ねることで、それこそ何の苦労もなく、喫煙地獄から這い出すことができるという。
 どう考えても「タバコの楽しさ」というのはタバコを欲しがる気持ちを満たすということで、それ以外の何物でもないといってよい。

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