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タバコ規制、より厳しく(2010年12月)


最新タバコ事情94

 政権交代から1年、世界の流れに逆らって、テコでも動かない日本のタバコ事情に風穴があくことを期待していた私たちを大きく失望させた1年であった。ただ乏しい政治状況の変化の中にありながら、社会は実質的に大きく脱喫煙に向けて動いた年でもあった。
 タバコ100円値上げは物足りなく感じたものの、不況下ではやはり大きな影響を見せ、「禁煙」がちょっとしたトレンドになった。青少年のタバコ離れは、タスポの影響もあってか、驚くべきものがあった。
 年末には、政府、メディアが国民に隠し続けている「タバコ規制枠組み条約(FCTC)」の第4回締約国会議(COP4)がウルグァイで開かれ、多くの重要なガイドラインが成立した。条約に加わった国は172ヶ国に上っている。タバコ産業を持つ中国、日本が悪役に廻り、特に中国はタバコ輸出国を目指してのことか、ほとんどの事項に細かく口をはさみ、添加物の使用制限、開示を定めるガイドラインの成立には執拗な抵抗を見せたという。しかしメンソールなどの使用禁止、制限などが多数国の後押しで盛り込まれた。
 「FCTCに法的拘束力はない」と強弁してきた我が国の政府見解も、法学者たちに国際条約の重みを指摘され、公式ホームページからは削除されたようだ。今や喫煙規制法を持たない唯一の先進国として、国内法の整備が待ったなしの状況である。たばこ産業の健全な育成を図るという「たばこ事業法」を温存させたまま乗り切ろうというのはどだい無理な話である。
 この改革を政治主導でできるかどうか、メディアを掌握した官僚の抵抗を前に予断は許されない。彼らの「知らしむべからず、由らしむべし」の国民操作が、この情報化社会にいつまでも通用するはずもないのだろうが…

http://www.press10.co.jp/op_pdf/opera1101img/opera1101_03.pdf

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