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タバコ大幅増税が現実に(2009年12月)


最新タバコ事情82

 当然のことながら、やっとタバコの税率アップ、価格値上げが現実味を帯びてきた。政治状況の変化から、今までの自民・保守の政治構造の中で頑なに押し通されてきた低価格政策が遅まきながら是正されようとしている。いつまで世界の趨勢や医学的、科学的事実に逆らった愚策を続けるのかと、半ばあきれながら忸怩たる気持ちで見守るしかなかったことを考えると、胸の膨らむ思いがする。
 国際価格の半値になってもタバコ価格を上げることができなかった理由は、タバコ業界、政界、財務省など官僚機構の圧力によるものにも見えるが、消費量の確保を求める輸出サイドからの外圧、財界絡みの力が大きかったように思う。タバコ輸入は日米貿易摩擦の解消には必須で、第二次アヘン戦争と揶揄されるほどそのウエートは高まっているにしても、米国のタバコ規制容認リベラル派への政権交代の今こそ大きなチャンスであろう。
 正直なところ、タバコが値上げになって喫煙者があまり困ることはない。価格状況に合わせ吸い方を変えたり、銘柄を変えることでニコチンの充足には簡単に対応できる。値上げを反対している勢力の怖れているのはやはり「タバコ離れ・消費減」である。出来ればやめたいと思っている7割の喫煙者の一部が禁煙に踏み切ること、高くなって子どもたちのお小遣いでは買えなくなることだが、本当の怖れは後者だろう。
 タバコ規制枠組条約(FCTC)がタバコ価格値上げを最大の眼目として掲げるのもここに理由がある。タバコ産業というあまりに大きく育ってしまった大木を枯らすには、将来喫煙者となる子どもたちを減らしその根を切り栄養を吸収できなくするしか方法がないと考えられている。
 タバコを財政問題から健康問題に取り戻せるか、国民を60種類の恐ろしい発がん物質から守れるか。新政権に託す思いは募るばかりである。

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