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まず百円、タバコ値上げを(2005年12月)


最新タバコ事情69

 国の財政がひっ迫しているとして、医療、介護の世界では大幅な自己負担金の増額が始まっている。老人保健施設や病院の介護病棟を利用されている方々は、あまりの大幅な負担増に悲鳴を上げている。
 この状況にあっても、どういうわけかタバコだけは増税論議からそっとはずされている。厚労省、医師会からの強い要求や多くの主要新聞の度重なる社説を無視し、何とかやり過ごしたい様子である。
 アメリカべったりの小泉さん、JTを絶好の天下り先とする財務省、貿易摩擦を少しでも避けたい財界の総意でもあるのだろう。現政権を支持した私たちは、積極的にこの論議にかかわるべきである。
 現存する最大の健康阻害要因がタバコであり、医療費を大きく押し上げている事実に異論を挟む医療者はいない。長い間値上げが抑えられてきたため日本のタバコは国際価格から大きく乖離している。
 「タバコ規制枠組み条約」が真先に掲げているのが大幅な税率上げである。これは先進諸国で検証済みの確実な政策で、概ね六百円から千円に値上げして見事に喫煙率を引き下げ、同時にがんや心臓病の発生率も引き下げている。まだまだがん死が増え続けている我国との認識の差は大きい。
 売り上げ減による税収減を心配される向きもあるが、値上げをして税収が減った国は未だない。「税率は60%」と言ってもタバコ価格が安いから実額は一五七円、英国では六百十一円、フランスで四百円が税金である。たった百円の値上げで、経費や消費の落ち込みを差し引いても軽く約八千億円の税収増になることを知ってほしい。

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