目次 :2003年(平成15年) :


タバコ規制条約に向けて(2003年1月)


最新タバコ事情43

 迎春。さて今年は、タバコを世界的レベルで規制しようとするWHOの「タバコ規制枠組み条約」が批准される年である。個々の国々が、バラバラにタバコの流行と取り組んでも効果が限られてしまうため、世界の合意として行動すべきとの考えによる。
 さてその交渉中の各国政府の中で、その最大の目的ともいえる「消費の削減」条項に反対しているのが、唯一我が日本国である。「それぞれの国の事情に合わせて実施すべきで、日本では国内の調整がまだついていない」と主張しているが、管轄する財務省が今となっても「タバコは個人の嗜好品で消費削減など求めるべきではない」などと反発しているためである。
 それに対し、財務省に従順な厚労省の審議会から珍しく異議が唱えられた。「タバコによる国民の健康被害を低減させる必要があり、タバコ消費は削減すべきである」と真っ向から反対意見を打ち出したのである。この提言は、今まで世界の流れに一人逆らって後向きな態度を取り続けていた政府の交渉姿勢に、大きな影響を与える事になりそうだ。
 厚労省の変化の裏には、最近の受動喫煙研究での新たな知見や、タバコ病による医療費増、若い女性への喫煙流行が社会にもたらした深刻な事態が誰の目にも明らかとなり、実効性のある対策づくりに迫られている事情がある。
 消費削減に最も効果がある税率アップによる値上げも、最小限の一本1円(JTが18%も取ってしまうから実質82銭上げ)に抑えこまれた。日本は「未来に対する責任からの政策」というのが、まだまだ難しい国のようである。

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