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喫煙は個人の自由?(2003年2月)


最新タバコ事情44

 (財)日本公衆衛生協会という、厚生労働省に近い歴史ある団体がある。保健所関係や公衆衛生学会などで、保健衛生に関わる人にとっては馴染みの機関であるという。
 この協会が、厚労省の後援で2月1日に銀座ヤマハホールで「生活習慣病予防週間シンポジウム」の開催を予定し、特別講演の演者として作曲家の三枝成彰氏を選んだ。
 これに対し、いくつかの禁煙団体から大きな反対の声が上がった。氏は以前から反喫煙運動を誹謗・揶揄してきたスモーカーで、「禁煙、嫌煙と騒ぎ立てる前に、もっと大切なことがあるだろう。タバコを吸えるようにしろって言えない社会に対してこそ、異議を唱えるべきではないか…喫煙は個人の自由だ、差別はおかしいと叫ぼう」(サンデー毎日誌)と主張している。
 この人が生活習慣病予防週間シンポジウムで特別講演をするという。保健所にポスターやチラシが掲示されているのに気付いた反タバコの人達が、異を唱えたのは無理からぬところである。
 最近厚労省は、生活習慣病予防の第一歩としてタバコ消費削減の方針を明確に打ち出している。抗議に対し同省は「健康は、日々のくらしの積み重ね」を謳った今回のシンポジウムにこの人選はふさわしくないと判断、イベントは急遽中止に追いこまれた様子である。
 最近JTは、喫煙は自己決定権にもとづくもので、他人がどうこう言うべきではないというキャンペーンを、盛んに行っている。タバコについての情報が著しく偏っている中で、吸うか吸わないかの選択だけを国民に強いるのは、卑怯としか言いようがない。

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