目次 :2010年(平成22年) :


フランスのタバコ事情(2010年8月)


最新タバコ事情90

 今、フランスではタバコの箱に綺麗なシンボルマークやロゴを印刷することが一切禁止されようとしている。一方タバコが有害で深刻な健康被害をもたらすという警告標示は残される方針だ。タバコの箱が目立ったり、多くの人の興味を引くようなものではなくすることが狙いである。
 フランスというのは、個人の自由を束縛することに国民的な強い反発があり、タバコに関しても数年前までは対策でも後進国であった。ところが、国が一旦国民に及ぼす害の大きさを認めてからは、矢継ぎ早に法的裏付けのもと厳しい効果的な対策を打ち出している。
 07年から公共交通機関や公共施設が禁煙となった。フランスには未成年者の喫煙禁止法が無かったが、08年からは18歳未満の青少年に一切販売できないことになった。同時にレストランやカフェがすべて室内禁煙となっている。
 わが国でも政府が「分煙」では非喫煙者の命と健康を守れないことに気がついたようで、「屋内完全禁煙」にやっと目が向いてきた様子だが、飲食サービス産業についてはまだまだ及び腰である。しかし、多くの未成年者、若い女性が働く場であり差別して対策を遅らせる理由は何もない。 
 あの忌まわしい煙が現在遭遇する最大の環境汚染であり、タバコの煙を無意識に吸わされるということが非日常的で異常であることに社会が気づいたとき、やっと癌や心臓病に対するいわれなきリスクが避けられる。
 またタバコはいったん依存が成立してしまうと、阿片やコカインに匹敵する強いやめにくさがあり、禁煙は至難の技である。しかし社会環境がこの薬物を排除とするにつれ、依存を維持してきた肯定的雰囲気が崩れ、自然にタバコに対する薬物欲求が薄くなって禁煙が容易になることも分かっている。フランス並みにはなりたいものだ。


2010年(平成22年) に戻る