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変な新種タバコが(2010年6月)


最新タバコ事情88

 ゼロスタイル・ミントと銘打って火をつけない新種のタバコが東京で発売された。人気で品薄状態だという。以前「電子タバコ」として話題になった疑似タバコと異なり、これはニコチンを吸引するれっきとしたタバコ製品である。
 その製品化や使用についての安全性のデータは皆無といってよく、周囲への影響について何も明らかにされていない新商品である。試しに製品の中身を見たところ(割ってはいけないと書いてはあるが)刺激臭の強い添加物にまみれて刻まれたタバコ葉が詰め込まれていた。これで熱を使わずにニコチンを揮発させ、肺に送り込む仕掛けのようだ。
 JTは「嗅ぎタバコ」の一種であり、副流煙の迷惑をかけず禁煙区域でも吸えるとしている。実際JAL(ANAは禁止)は機内でその使用を認める方針を明らかにした。
 しかし、警告表示にあるように、嗅ぎタバコでも使用者本人の口腔がんの発生が4.2倍という研究もあり、更には脳卒中、心筋梗塞、胎児の発育障害の原因にもなる。もちろん周囲の人は吐き出される種々の有害物質に晒されることになる。
 煙が出ないからということで広がる禁煙区域での自由な使用を目論むと同時に、ゼロスタイルと謳うことで、フィルターがかつてタバコの害を激減させる切り札として宣伝されたように、根拠のない安全性を抜け目なく売り込んでいるようにみえる。
 また禁煙した人たちを呼び戻す効果や、やめようとしている人々の決断を鈍らせたり、喫煙を開始していない若い人たちを体験的ニコチン使用に誘い込む狙いすらあるのかもしれない。
 添加物の開示も危険性のデータもなく、法律で禁止されていないという理由だけで、日本人を新しいニコチン吸引法に巻き込むことに強い疑問を感じる。

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