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無煙社会への兆しが(2010年5月)


最新タバコ事情87

 神奈川県の受動喫煙条例の施行は大きな社会変化をもたらすだろうと期待していたが、メディアはじっと成り行きをうかがっている様子である。情けない話で、国民の健康よりスポンサーの御意向を見極めることの方がずっと重要なのだろう。
 しかし彼らが無視しようもない大きな変化が10月には起こる。タバコ価格の大幅値上げである。ニコチン依存症患者を確保するためにとられている他の先進国にない官僚主導の低価格戦略が、政権交代によっていまや徐々に崩れている。
 値上げに反対する彼らの論拠は、日本のタバコは63.3%と高税率であり、外国並ということだが、タバコ価格が段違いであることから実質税価格を比べると彼我の差は甚だしい。最近のデータでは、実質税額は消費税を含めると英国848円、仏604円、米ニューヨーク592円に対しわが国は189円。下手な言い訳としか言いようがない。
 消費を抑制するために高い価格を設定するという考えがないため、先進国に類を見ない安い税金でこのドラッグを手に入れることができる国なのだ。年度ごと100円ずつでも、早く800円から1000円にしてほしい。そうすれば子供たちがこの薬物に手を染めることはないだろう。
 これらに加えて、2月には厚労省健康局長が全国の自治体宛て「屋内の100%全面禁煙を求める通知」を発出した。「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」の報告書でも職場原則全面禁煙の方針が明確に示された。これらは「屋内全面禁煙」が必須であり、空気清浄機や換気、喫煙室の設置などで周囲の関わりない人々を護ることはできないという科学的事実に基づいたものである。
 真実を知れば、いくら「嗜好品」と言い張っても60種類の発がん物質入りのお茶やコーヒーを喜んで飲む人などいないのだから。

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