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幼い児がライターのいたずらで(2010年4月)


最新タバコ事情86

 春、子どものライターによる火遊び事故が相次いでいる。北海道で乳幼児4人が火の気のないはずの車内で焼死、川崎の住宅火災で2児が死亡、宮城では2児は助け出されたもののワゴン車が全焼、いずれも焼け跡からライターが見つかっていることから、子どもたちのいたずらによって引き起こされた火災と推定されている。
 最近の実態調査によると12歳以下の子供によるライターの火遊び火災で153人の死傷者が出ており、うち5歳未満に限ると発生107件で74人の死傷者が出ているという。最近のライターは、ただ押し下げれば簡単に着火する力のいらない電子式のものが多く、危険性が指摘されていた。
 ただなぜこの時期に集中したのか少し不思議に思っていたが、コンビニのタバコ・コーナーを見てはっとさせられた。女性向けタバコに、きらきらと可愛い、いかにも子供の気を引きそうなライターが、競うように景品としてつけられていたのである。
 入学、卒業、入社など今の時期は、例年新しい喫煙者を開拓しようとする激しい販売促進キャンペーンの時期でもある。特に若い女性を狙ってえげつないものが多いのだが、その代表的な小道具としてこれらの景品ライターがより派手なものにエスカレートしている。幼児にとってパチンとタバコに火をつけるお父さんお母さんのまねをしたいのは無理からぬことで、この危険性は容易に予見された。
 幼児が簡単に着火できないように操作性に規制をかけることが検討されていると言うが、子どもの目を引くいわば「火器」を景品として無神経にばら撒くことを許す社会であってはならないと思う。 
 しかし、何より幼児の前で受動喫煙など頭の片隅にも置かずタバコに火をつけるお父さんお母さんの存在が、いま最大の社会問題ではないだろうか。

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