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厚労省、職場を全面禁煙に(2010年3月)


最新タバコ事情85

 働く人の健康を守るために、厚労省が全国の地方自治体に向けて職場や公共的施設は原則全面禁煙とすることを通知した。特筆すべきは、世界の科学的知見から「分煙」では受動喫煙から非喫煙者を守ることができないと明記したことである。
 この通知が出された背景には、国際条約である「タバコ規制枠組み条約」よってわが国が今年中に実効性ある受動喫煙対策を行うよう定められていること、今月から神奈川県で罰則付きの「受動喫煙防止条例」が実施されることがある。
 厚労省通知は罰則はないが、多くの自治体は各種業界団体にも趣旨を徹底、総務省も公務職場での健康管理面からこの通知の順守を強く求めている。すでにすべての公共施設を完全禁煙化することを決めた自治体もある。
 わが国にはタバコ産業の健全な発展を図るという「たばこ事業法」なる奇異な法律が今なお存続しているため、世界の受動喫煙対策から大きく遅れを取ってきた。この法律は「タバコ規制枠組み条約」に明らかに抵触することから、民主党より「タバコ規制基本法」といった法律に改廃する方向性が示されている。
 日本の肺がんの罹患率は、吸う人と吸わない人を比べると2倍から4倍とかいうデータが多い。しかし外国の調査で10倍以下という報告はほとんどない。日本人は肺がんになりにくいと考えられたりもしたが、実はわが国では全くの非喫煙者(受動喫煙の全くない人)を探すのは至難の技で、ほとんどの人が程度の差はあるものの受動喫煙を浴びている。ピュァな非喫煙者は皆無といってよい。外国では宗教的理由などで生涯タバコの煙に無縁な人々も多く、正確な調査がなされているというだけのこと。
 この事実からどれほどの人々が日々の発がん物質吸引で、タバコを吸わなくてもいわれなき肺がんにかかっているかが分かろうというものである。

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