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タバコ価格と政権交代(2009年10月)


最新タバコ事情80

 民主党の圧勝のもと、わが国で初めてともいえる政権交代となった。戦後タバコは政策物資とされ、国民の健康に関わる視点からの政策的論議はほとんどなされず、政官財とメディアの強固なバリアの中でぬくぬくとその食指を若者たちに伸ばし続けてきた。さてこの異常な状況が、どのように改善されていくものか、今は期待で心がはずむ。
 まず選挙直前、七月に出されたマニフェストを補完する民主党の政策集に注目したい。「たばこ税については、財源獲得の目的で規定されているたばこ事業法を廃止、健康目的の法律を新たに創設、タバコ規制枠組み条約(FCTC)で求められている喫煙率低下へ向けての価格政策の一環としてたばこ税を位置づけます」更に「一本当たりいくらという現行の課税方法ではなく、健康影響を考えた視点から国民が納得できる課税としたい」と踏み込んでいる。
 タバコ価格の値上げは青少年の喫煙抑制策として最も有効であることが分かっていながら、無視され続けてきた。今やっと、タバコが財政問題としてではなく健康政策として語られる時代となったわけで、胸ふくらむ思いがする。
 タスポ効果か、いま急速に青少年の喫煙率低下が起きている。不景気も影響してか国内のタバコ消費量も明らかに大幅な低下を見せている。来年四月には神奈川県受動喫煙防止条例の施行があり、その影響の大きさは想像に難くない。ここで価格面でタバコ抑制策が取られるなら効果は相乗的なものになるだろう。
 タバコ税を上げると消費が減り税収も減るという作り話がまことしやかに喧伝されているが、英国では千円を超えてもまだ税収は増加基調を失っていない。タバコは、少しくらい高くなったからおいそれと禁煙できるほどヤワなドラッグではない。安心して値上げし、貴重な財源にしてほしい。

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