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タスポ情報が任意で検察に(2009年9月)


最新タバコ事情79

 タバコ自販機用の成人識別カード「タスポ」を発行する日本たばこ協会が、特定の個人が自販機を利用した日時や場所などの履歴情報を検察当局に任意提供していたことが、内部資料や関係者の話で分かった。
 転居で罰金逃れを図り捜査の対象になっていたタスポ利用者が、購入履歴から生活エリアを絞り込まれ、使用の多い自販機がある会社の敷地内に設置されているものと判明、検察により派遣社員としてその会社に勤めていたことが突き止められたとのこと。
 タスポのシステムでは、カード利用者がいつ、どこでどの銘柄を買ったかが履歴として蓄積されているが、法に基づく要請には本人の承諾を得る事なく、必要に応じて「任意の情報提供」をしているという。関係者の話では免許証など顔写真付き身分証明書の写しが添付された申込書のコピーの提供事例もあったようだ。
 何とも軽い個人情報の扱われようだが、「会員規約で同意を得ている」と説明されている。しかし会員申込書や規約に記載はなく、ネットのタスポサイト内にある「個人情報保護方針」に「法令等に基づき、提供に応じなければならない場合第三者へ提供する」との記述があることを任意提供の根拠としている。
 しかし、本来はタバコ購入者の成人識別機能を求めるだけのシステムであることを考えると明らかに目的外使用で、また常に監視可能な状態にされているというのはやはり何か違和感があるようだ。すねに傷の覚えがある人はもとよりこんなカードは作らないだろうし、多くの人が胡散臭さに気付いている故、未だ三分の一程度の普及に止まっているのかもしれない。
 タスポの導入により中、高校生の喫煙はかなり抑制されている。これでコンビニが、未成年者には絶対売らないという遵法精神を発揮してくれたら、日本のタバコ事情は格段に改善するのだが。

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