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大麻汚染とタバコ(2009年3月)


最新タバコ事情74

 今、若者の大麻汚染が深刻な話題になっている。ミュージシャンをはじめ大相撲力士、果ては前回五輪で活躍した天才スイマーまで巻き込まれていたことが、毎日のように報道されている。大麻は「貧者のアヘン」とも言われ、古くから世界中で乱用されてきたドラッグで催幻覚作用、ハイになる興奮作用があり、もちろん依存性もある。そして大麻を吸うものは吸わない者に比べて他のドラッグを試す可能性がはるかに高くなる事も知られている。容認している国や州もあるが、ヘロインやコカインに手を出されるよりまだマシと考えざるを得ない、薬物が蔓延しているところばかり。
 さてこの薬物とタバコはどのような関係にあるのだろうか。マリファナも吸煙という手段で体内に取り込まれることが多いことから、タバコと大きく相関する。通常大麻草はタバコの葉と混ぜられ「ジョイント」と言われる形で使用される。つまりタバコを吸う経験と重なってこのドラッグの乱用が始まる。興味深いのは、皆大麻の効果を求める目的で「ジョイント」を始める。しかし、入手は困難、取り締まりや刑罰も厳しいことを知り多くはやめるが、その時初めてタバコはやめられないことに気づくという。つまり催幻覚作用などの精神作用は大麻が強いが、やめにくさ、依存性の強さははるかにタバコ・ニコチンが優っているという事実である。年少者のシンナー乱用もそうだが、タバコ吸引は殆どのドラッグの入門薬になっているといってよい。
 若者や女性のタバコを容認する私たちの薬物音痴ともいえる社会が、この危険な状況を誘い出している可能性はないだろうか。喫煙の低年齢化が大麻の流行と無関係なはずがない。規制もできない、値上げもできない最近の我が国のタバコ事情を見渡すと、FCTCを尻目に有効な対策をとろうとしない政府に大きな閉塞感を抱いてしまう。

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