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神奈川県議会に受動喫煙防止条例が(2009年2月)


最新タバコ事情73

 神奈川県受動喫煙防止条例が県議会での採決に向けて正念場を迎えている。世界の流れからすれば全くスタンダードな範囲の法的規制だが、タバコの煙に対し国が何もせず国民への危害を容認している不作為に、地方自治体が突き付けた強烈なアンチテーゼと言える。
 これに対しタバコ税増税を強引に見送りさせた黒い大きな力は、中小サービス業団体の無知を利用し反対運動を繰り広げている。いわく「客が減る、売り上げに悪影響」、「吸う人と吸わない人の共存・分煙を求めるべき」との主張である。一見もっともに聞こえるが「分煙」は十分な受動喫煙対策にはなりえない。WHOが「タバコ煙に安全なレベルはない」と強く警告しているように、技術の粋をつくしても分煙で安全な環境は得られない。私たちの生活の中で60種類もの発がん物質に遭遇する機会は「受動喫煙」以外にはないだろう。
 割合知られていないが世界の先進国でがん死は減り続けている。しかし我が国では今なお横ばい(男性ではやや上昇)の状態である。何のことはない、まともなタバコ規制ができず国民は無知なまま発がん物質を吸引し、それを子供たちや他の人々にまでまき散らすのを止められないからである。英、米、カナダ、北欧など多くの国では法の下にタバコの煙から守られて生活している。安全な空気環境の中で生活することは決して我儘などではなく、健康に生きる基本的な権利である。
 神奈川県松澤知事は、まず煙を避けることができない子供たちや煙の職場で働く人々を救い出そうとしている。しかし議会をわが物としている大きな黒い力は、出来れば廃案に持込み自主規制強化で済ませようと目論んでいる。
この条例は先進国に追いつく期間を10年ほど縮める可能性を持つ。ぜひ皆さんも大きな関心を持って見守ってほしい。

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