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タバコとサイエンス(2005年8月)


最新タバコ事情66

 タバコ問題についてはこのところ大きな変化が続き、情報に飢えていた時代には考えられないほど数多くの明るい話題が重なりました。とくに2月27日発効したWHOのたばこ規制枠組み条約(FCTC)が日本の大きな転換点になると考え、茨城県医師会にお願いして「世界禁煙デー記念・市民健康フォーラム」を開催させていただきました。
 何としてもお話を聞きたかったのが基調講演の望月友美子さん。昔、国立がんセンター研究所でやたらタバコ問題に熱心な若手技官が風を切って歩いていて、それが彼女でした。その後厚生省に戻り、「健康日本21」でタバコの消費量半減目標を打ち出す中心的な役割を果たしました。これは日本のタバコ政策を一気に前進させるかに見えたものの、財務省と自民党の族議員に潰され、失意のどん底を味わったお方です。
 しかし「健康日本21」の敗北の灰の中から不死鳥のようによみがえったのが国民を受動喫煙被害から守る「健康増進法第25条」、これが大きな社会変化を呼び、FCTCの早期批准に大きな力となったのは周知のところです。彼女を突き動かしている、「サイエンスがタバコの恐ろしい害毒を閉じ込める最大の武器である」という信念を余りなく見せてくれたよい講演でした。
 このところ、例によってJT側は激しいゆり戻し工作を始め、手の込んだ規制骨抜き策に必死ですが、この国際条約はじわじわと国民の意識改革に繋がるでしょう。
 最近面白い言葉を見つけました。「タバコは先端に火がついていて、吸い口にはバカがついている」…言い過ぎかぁ。

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