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自販機はどこへ(2005年7月)


最新タバコ事情65

 「たばこ規制枠組み条約」が締結され屋外広告の撤去、新聞雑誌の広告規制、パックの警告表示など順調に進んでいるが、今大きな問題となっているのが全国くまなく設置された62万台のタバコ自動販売機である。これは喫煙者50人に1台、未成年者から見れば20人に1台の割りとなる。
 日本にはもともと世界に誇る「未成年者喫煙禁止法」があり、明確に未成年にタバコを売ることが禁じられており、購入者の年齢確認が義務づけられている。しかし今まで政府は未喫法を死法化させ、自動販売機の設置を業界の自主規制に任せていつでも誰でもタバコが簡単に手に入れられる環境作りにいそしんできた。
 しかしこれは、厳しい未成年喫煙防止対策を義務付けたタバコ規制条約に抵触することとなった。そこで逃げ道として考え出されたのが「成人識別機能つき」の自販機である。要はICカード式の自販機で、カードを成人でなければ購入できない仕組みにして、それを3年後の平成20年までに全国一斉に導入する方針とした。ところが改装に1台10万円も必要で、数百億円の費用を誰がどこから工面するのか全く目途も立っていない。
 自販機の設置場所についても、もちろん不正使用を監視できる目の届く範囲と定められているが、今でも無人で、ろくな管理もされていない違法環境にある自販機が数万台もあり、この対策すら思うように進んでいないのが実情だ。
 さて四面楚歌のタバコ業界がどのように切り抜けるつもりか興味深いが、例のごとくいい加減な自主規制で先延ばしできる環境でないことは肝に銘じてほしいものである。

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