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禁煙失敗と副流煙の関係(2005年5月)


最新タバコ事情64

 できることであれば禁煙したいと7割ものひとがいう。半数近くが禁煙を試み、うち1〜2割の人がやっと成功に至るといったところか。いったん禁煙に成功した人も、多くが3週間、3ヶ月、3年と言われるいくつかのヤマ場でタバコのヤニくさい世界に引き戻されてしまう。ニコチン依存症の再発、再喫煙である。
 私はこれを、タバコに対する「気の緩み」のように理解していたが、最近どうもそうではないと考えるようになった。ニコチンという薬物が、生まれる以前から子供たちの脳の成長に、化学的な大きな影響を与える事を知り、これは大人の脳神経システムにも起こっているはずとの考えに至ったのである。
 改めて、禁煙して何ヶ月もたった人たちが、再喫煙に陥った状況を整理してみた。やはり酒席での「貰いタバコ」によるものが最も多い。心に引っかかっていたのは、禁煙して初めてパチンコに行き、タバコの煙に中に30分くらいいただけで店を出たが、すぐにタバコ屋に飛び込んでいつものタバコを買ってしまったと言う話である。
 タバコの副流煙には、吸い込む煙の3倍以上の濃いニコチンが含まれている。禁煙してやっと禁断症状の罠から逃れかけた脳が、この不意打ちともいえる薬物の注入になすすべもなく、呼び戻されてしまったということだろう。
 覚せい剤やコカインについては「フラッシュバック」という、少量の薬物刺激が強い禁断症状を引き起こす現象が明らかになっている。禁煙したとき最も注意すべきは、他人のタバコの煙ではないだろうか。

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