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一本目からタバコがうまかった(2004年6月)


最新タバコ事情57

 毎週一〜二回の禁煙講話をしながら、中、高校生たちの喫煙事情の実態を知るため事前アンケートを続けているが、最近興味ある事実に気づいた。
 「初めてタバコを吸って、どのように感じましたか」という問いに対して、タバコを吸うと答えた子供のなんと二割近くが「最初からうまいと思った」と答えているのである。それが、不思議なくらい家庭の喫煙状況と相関があり、最近多くなった「両親とも吸う」と答えた家庭の割合と奇妙に符合している。
 いま、これについて考察をするためデータをそろえているところだが、父親が吸う割合とは関連が乏しい。両親が吸う家庭が増えているということは、母親の喫煙率の増加によるものと考えられる。子供たちは母親との接触時間が父親に比べ格段に長い。このため家庭内で喫煙母の煙に巻かれて生活する時間はかなりのものになるだろう。
 このようにニコチンに暴露されながらの生活を幼時から強いられると、発育過程の脳がニコチンの薬理作用に馴らされ、「親たちの喫煙姿を見ながら育つ」すり込み効果以上に、生理的に受け入れやすくなっているのではないだろうか。私は強い懸念を抱いている。
 健康増進法は未成年者の喫煙をゼロにすることを明確な目標としている。初めての喫煙経験は、親のタバコが最も多い。自分の子供にタバコを吸ってほしいと思う親はいないのだから、喫煙開始を教育的に押さえ込もうとするより、家庭環境からタバコをなくすことの方が格段に取り組みやすい課題であろう。学校は間もなく無煙の環境になる。

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