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タバコやめて新しい生き方(2003年8月)


最新タバコ事情49

 7月1日から一箱20円ほどの値上げがあった。先進国の中でも異常に安いタバコ価格を考えると、とても納得できる上げ幅ではないが、タバコ離れの一助となることは確かで歓迎していた。
 ところが、青少年喫煙を抑制する効果すら期待できないわずかな値上げも、喫煙者には大きな反発となるらしい。私たちの地方紙の、タバコ値上げへのやりきれない思いを綴った一面コラムから、今更ながらにタバコの怖さを知らされた。
 吸いにくくなった環境を嘆き、なぜそれまでしてタバコを吸うのだろうと自問しつつ、仕事を終えた後の一服は疲れを取ってくれる、考え事をまとめる時にはタバコが欠かせないと続く。そこに、ニコチンという薬物が人生経験ゆたかな知識人をここまで追い込むものかと、改めて怖さを感じたのである。
 「肺がんが何倍多くなると言っても、数字は数字だよ、私は死んでもやめないね」と豪語していた外科医がこのほど肺がんの手術を受けることになり「やはり恐ろしいことだ。数字はまさに現実を素直に表している」と述懐しているのを聞いた。
 ヒトは本能的に、大きな危険は回避するように行動する。しかしこの薬物は、喫煙者の三人に一人がタバコで殺されているという事実を、いつまでも認めさせようとしない。
 私たちはタバコがなければ心の安らぎが得られない人々を生み出さないために、「生き方の問題」としてこどもたちにその真実を伝えている。一方、禁煙に成功して「新しい生き方」に感動している人々をみると、最後の一本に手遅れはないとつくづく思う。

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