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健康増進法が実施に(2003年5月)


最新タバコ事情47

 5月1日、健康増進法が発効したことにより、今大きな社会変革が始まった。他人の煙によってこうむる健康被害に対して、はっきり「NO」と言える法的な根拠が明確になったからである。
 タバコ産業とは、禁断症状をテコにして、薬物のかりそめの快楽から巨大な利益を産み出す特殊な業態である。吸う人は、そのリスクを周知の上で自らが買い求め、自己責任で吸うのだから、喫煙に対してどうこう言うのは個人の自由の侵害だと強弁してきた。
 しかしその煙が、関わりない他人の健康を害することはまかりならぬと今回法的な規制がなされた。実はこれが、以前からタバコ産業の最も恐れていたことなのだ。自己責任論は通用せず、一昔前のように「受任限度内」として、他人に被害を与えることを認めてくれる世論はない。従って反論のしようがないのである。
 世界最大のタバコ企業フィリップモリス(マルボロ、バージニアスリムなど)も次々起こされる直接、間接喫煙による健康被害の損害賠償訴訟で追い詰められ、株価は暴落、破産の可能性すらささやかれている。
 ブッシュ政権は、国内での喫煙規制による消費減退をタバコに無知な海外後進国で補うべく、タバコ規制国際枠組み条約に露骨な干渉を始めた。今、そのよきパートナーになっているのが、タバコについて行政に構造的欠陥を持っているわが日本国である。
 タバコにかかわるすべての権益を握る財務省に対して、心ある厚生労働省の人々が見せた国民を守る気概の象徴ともいえるのが、今回の健康増進法といってもよいだろう。タバコ天国終焉への大きな転換点となることを確信する。

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