禁煙運動団体、分煙店紹介や講演活発 自治体に質問状も

日本経済新聞社 NIKKEI NET ウィークエンド版 特集&ニュース 2003年5月26日

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禁煙運動団体、分煙店紹介や講演活発 自治体に質問状も

 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止を義務付けた「健康増進法」が今月から施行されたのを受け、全国各地の禁煙運動団体の動きが活発だ。禁煙レストランを紹介する本の出版や、自治体に禁煙への取り組みについて質問状を出す動きも。団体の多くが「活動しやすくなった」と口をそろえる。
 同法は不特定多数の人が集まる施設の管理者に受動喫煙の防止を呼びかけている。

 分煙推進に取り組む東京都の市民グループ「分煙社会をめざす会」は、「空気のおいしい禁煙レストラン&カフェ・ガイド」を6月中旬に出版する。4年前にも同様の冊子を発行したが、法施行を追い風に、最新の情報や店の紹介を充実させ、書籍としてまとめた。

 ガイドは禁煙席のある東京、横浜などの飲食店の中から完全禁煙を「A」、完全分煙を「B」と区分。居酒屋などは、禁煙場所が一部でもあれば「C」とした。

 会の世話人の1人でデザイナーの森川起代巳さん(38)は「すべての店を実際に訪ねた。禁煙に積極的な店を応援していきたい」と話す。

 既に大阪や名古屋などの市民グループが「空気の美味(おい)しいレストラン」の地域版を出版しており、同様の動きが各地に広がりつつある。

 一方、若者に禁煙講習を実施している「無煙世代を育てる会」(茨城県)では、講演依頼が急増。昨年は10回程度だった学校や自治体向け講演が、今年は3倍を超えそうだ。代表の平間敬文さん(57)は「管理者がようやく重い腰をあげた。予想はしていたが、ここまで反響があるとは」とうれしい悲鳴を上げる。

 自治体の対応をただす動きも。「きょうと分煙生活舎」(京都市)は、関西圏の5府県28市に「健康増進法にどのように対応するか」との公開質問状を送った。約6割の自治体から回答があり、大半は庁舎内の喫煙ルーム以外では禁煙にするなどの措置を早急に取る予定という。

 代表の江頭節子さん(37)は「自治体から受動喫煙をなくすための前向きな言質をとった。回答に基づいて、今後の対応を見守っていきたい」と話した。

 効果的な分煙に詳しい大和浩産業医科大助教授(労働衛生工学)は一連の動きを「市民団体の地道な動きが行政や企業に受動喫煙の防止を促している」と評価。「一部の人だけでなく、社会全体で非喫煙者の生活権を守る意識を持つことが大切だ」と話している。

[2003年5月26日/日本経済新聞 夕刊]

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